○黒滝村有害鳥獣捕獲実施要領
平成22年12月1日
要領第1号
(趣旨)
第1条 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号。以下「法」という。)第9条第1項に基づく鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害(以下「被害」という。)の防止のための鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等(以下「有害鳥獣捕獲」という。)のための鳥獣捕獲等許可(以下「許可」という。)のうち黒滝村の許可権限に係る事務の取り扱いについては、法、同法施行規則(平成14年環境省令第28号。以下「省令」という。)、奈良県事務処理の特例に関する条例及び法第4条の規定に基づき県が定める奈良県鳥獣保護事業計画(以下「計画」という。)の規定によるもののほか、この要領によるものとする。
(有害鳥獣捕獲の許可の基本的考え方)
第2条 有害鳥獣捕獲のための許可は、被害の状況及び防除対策の実施状況を的確に把握し、その結果、被害が生じているか又はそのおそれがあり、原則として被害等防除対策によつても被害が防止できないと認められるときに行うものとする。
(予察捕獲)
第3条 恒久的な被害を抑制するために、被害の発生する時期に、的確に実施する予察捕獲は、計画の予察表に予察捕獲対象種として記載されている鳥獣のうち、キジバト、ドバト、ハシボソガラス、ハシブトガラス、スズメ、ヒヨドリ、ムクドリ、ゴイサギ、コサギ、カワウ、イノシシ、シカ、ノウサギ、サル、アライグマを対象に行うものとする。
2 村長は、予察捕獲に係る捕獲等許可申請がなされてきたときは、被害調査を省いて許可できるものとする。
(許可権限の区分)
第4条 許可の区分は、次表のとおりとする。
許可権限 | 許可の内容 |
1 市町村長 | 国指定鳥獣保護区の区域以外において以下の許可を行う場合 ① 被害の防止の目的でかすみ網を使用する方法以外の猟法を用いて次の鳥獣の捕獲等をしようとする場合 ゴイサギ、コウライキジ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、カワウ、コサギ、ドバト、ノウサギ、タイワンリス、アライグマ、タヌキ、キツネ、オスイタチ、ミンク、イノシシ(イノブタを含む。)、シカ、ヌートリア、サル ② 被害の防止の目的でキジバト、ドバト、スズメ、ハシボソガラス又はハシブトガラスの卵の採取等(損害を含む。以下、同じ。)をしようとする場合 |
2 知事 | 国指定鳥獣保護区の区域以外において被害の防止の目的で1及び3に定める以外により鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等を行う場合 |
3 環境大臣 | ① 被害の防止の目的で保護繁殖を特に図る必要ある鳥獣(省令第4関係別表第2)を捕獲等する場合 ② 被害の防止の目的で鳥獣の保護繁殖に重大なる支障がある網又はわな(省令第6条)を用いて捕獲等する場合 ③ 国指定鳥獣保護区の区域内において被害の防止の目的で鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等を行う場合 |
(申請者)
第5条 有害鳥獣捕獲許可申請のできる者(以下「申請者」という。)は、次の各号に掲げる者とする。
(1) 国
(2) 地方公共団体
(3) 環境大臣の定める法人{農業協同組合、同連合会、農業共済組合、同連合会、森林組合、同連合会、生産森林組合、漁業協同組合、同連合会(以下「対象法人」という。)}
(4) 野生鳥獣の被害を受けている者(以下「被害者」という。)
(5) 被害者から依頼を受けた者(以下「被依頼者」という。)
(申請手続)
第6条 申請者は、鳥獣捕獲等許可申請書(第1号様式)(以下「申請者」という。)に次の書類を添えて村長に提出するものとする。
(1) 有害鳥獣捕獲実施区域図(25,000分の1地形図又は黒滝村管内図等を用いて、被害地を緑線で囲うとともに、有害鳥獣捕獲の実施区域を朱線で囲うこと。)
(2) 網猟具又はわな猟具を使用する場合は、上記の被害位置図に加えて1,000分の1から5,000分の1程度の地図(猟具の設置箇所を朱色の○印で示すこと。)及び当該猟具の図面
(3) 個人の申請者が協同して捕獲をしようとする場合及び法人申請の場合は、「鳥獣捕獲等許可申請者(従事者)名簿(第2号様式)」
(4) 有害鳥獣捕獲日程表(第3号様式)
(5) 申請者が国、地方公共団体若しくは対象法人の場合であつて当該職員以外の者に有害鳥獣捕獲の実施を依頼する場合又は被依頼者である場合は、有害鳥獣捕獲依頼書(第4号様式)の写し
(6) その他村長が必要とする書類{被害証明書(第5号様式)、被害状況写真等、その他安全確保を図るための書面等}
(捕獲実施者)
第7条 有害鳥獣捕獲に従事する者(以下「捕獲実施者」という。)は次の(1)~(3)の条件を全て満たすものとする。ただし、ハシボソガラス及びハシブトガラス(以下、「カラス」という。)又はドバトの被害を受けている施設を所有又は管理する者及び当該被害者からの有害鳥獣捕獲の依頼を受けた専門の事業者が、捕獲箱等を使用して、当該施設内でドバト又はカラスを有害鳥獣捕獲するときはこの限りではない。
(1) 原則として黒滝村に居住する者。または、黒滝村に土地を所有し、その土地において農林業を営んでいる者
(2) 現に有効な狩猟免許を有し、原則として過去5年以上有害鳥獣捕獲に用いる捕獲方法の狩猟者登録を継続して受けている者
(3) 省令第67条で定める狩猟災害共済又は狩猟者損害保険(ハンター保険)に加入している者
3 捕獲実施者数は、有害鳥獣捕獲の適正化・公正化から原則として複数とするが、実施区域、方法及び被害の状況等を考慮し、必要最小限に制限するものとする。
(1) 森林管理署、森林管理事務所等当該捕獲等実施機関に勤務する者
(2) 狩猟免許を有する者又は当該森林管理局等で開催する「鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する研修」を過去3年以内に受けた者
(有害鳥獣捕獲の実施期間)
第8条 有害鳥獣捕獲の実施期間は、被害の状況及び現地の実情等を勘案し、最も効果的な期間を選び、次の各号の基準以内で決定するものとする。
(1) スズメ、ゴイサギ、キジバト、ドバト、カラス、ムクドリ、ヒヨドリ、カワウ、コサギを有害鳥獣捕獲する場合は、2箇月以内
(2) ドバト、カラスを捕獲箱で有害鳥獣捕獲する場合は、6箇月以内
(3) イノシシ、ノウサギ、シカ、アライグマを有害鳥獣捕獲する場合は、2箇月以内
(4) サルを有害鳥獣捕獲する場合は、6箇月以内
(5) 前各号に掲げる場合以外は、原則として1箇月以内
2 次の各号に掲げる期間は原則として許可しないものとする(ただし、サルの有害鳥獣捕獲、鳥類の卵の採取等及びドバト、カラスを捕獲箱で有害鳥獣捕獲する場合を除く。)。
(1) 当該鳥獣の繁殖期
(2) 愛鳥週間(5月10日~5月16日)
(3) 動物愛護週間(9月20日~9月26日)
(4) 狩猟期間(11月15日~2月15日)のそれぞれ14日、13日(閏年14日)間(なお、イノシシ及びニホンジカ(旧奈良市以外)については、特定鳥獣保護管理計画により狩猟期間が11月15日~3月15日となつているため、狩猟期間後は16日間とする。)
(有害鳥獣捕獲の許可頭羽個数)
第9条 有害鳥獣捕獲の許可頭羽個数は、被害地における鳥獣の生息状況及び被害の防止の目的を達成するために必要最小限の頭羽個数とする。なお、鳥類の卵の採取等は、原則として次の各号に該当する場合に限る。
(1) 現に被害を発生させている鳥類を有害鳥獣捕獲することが困難であり、鳥類の捕獲等だけでは被害の防止の目的が達成できない場合
(2) 建築物等の汚染等を防止するため巣を除去する必要がある場合で、併せて卵を採取等する場合
(有害鳥獣捕獲の実施区域)
第10条 有害鳥獣捕獲の実施区域は被害の発生している区域又は被害の発生する恐れのある必要最小限の区域とする。
2 狩猟期間中における一般猟野及び休猟区における有害鳥獣捕獲は原則として許可しないものとする。また、網猟具又はわな猟具のみを使用する猟法による銃器を対象とした特定猟具使用禁止区域における有害鳥獣捕獲についても、狩猟期間中は原則として許可をしないものとする。
3 被依頼者からの申請に基づく有害鳥獣捕獲の実施区域は当該被害者の所有又は占有する土地又は建物に限るものとする。ただし、農林水産業関係団体又は自治会長等が依頼した場合はこの限りでないものとする。
(有害鳥獣捕獲の方法)
第11条 有害鳥獣捕獲の方法は、従来の実績等を考慮して最も効果的な方法とし、空気銃を使用した有害鳥獣捕獲は半矢の危険性があるため、原則として中・小型鳥類に限つてその使用を許可するものとする。
2 法令で禁止されている猟具及び猟法での有害鳥獣捕獲は許可しない。
2 許可証等を交付するときは、必要に応じ条件を付すものとする。
3 許可証等を交付するときは、併せて腕章を貸与するものとする。
4 許可証等を交付したときは、鳥獣捕獲等許可明細書(第8号様式)により当該区域を所轄する警察署長に通知するものとする。また、必要に応じその他の関係機関にあわせて通知するものとする。
5 従事者証の交付を受けた者は、それぞれの捕獲実施者に対し、有害鳥獣捕獲の日程、方法等を周知のうえ、従事者証及び腕章を伝達するとともに、有害鳥獣捕獲実施者台帳(第9号様式)を整備するものとする。
(有害鳥獣捕獲の実施)
第13条 有害鳥獣捕獲の適正な実施を確保するため次の各号に注意するものとする。
(1) 国、地方公共団体、対象法人及び猟友会支部長(以下「支部長」という。)等は、有害鳥獣捕獲の実施場所数及び方法等を考慮して、許可証等の交付を受けた捕獲実施者が多数の時はおおむね5名程度に班編成し、班ごとに責任者(以下「班長」という。)を置き、有害鳥獣捕獲の適正化と事故防止を図るとともに、有害鳥獣捕獲の総括責任者として指揮監督すること。
(2) 許可証等の交付を受けた申請者、支部長等及び班長は、関係機関と連絡協調して、広報その他の方法で、所轄の警察署(駐在所、派出所を含む。)及び有害鳥獣捕獲区域の住民に有害鳥獣捕獲の方法、日時、場所などを周知し、事故防止に万全を期すこと。
(3) 有害鳥獣捕獲に従事するときは、必ず許可証又は従事者証を携帯し、腕章を着用すること。
(4) 網又はわな(捕獲柵、捕獲檻を含む。)を使用するときは、1張又は1個ごとに許可を受けた者の住所、氏名、許可証番号、許可期間及び許可鳥獣名等を記載した標識(第10号様式)を明示するとともに、それぞれの網又はわなを適切に管理すること。また、許可期間終了後は確実に撤去を行い、撤去が困難な場合は、使用できない状態にすること。
(5) 捕獲実施者は、捕獲物が鉛中毒事故等の問題を引き起こすことのないよう、山野に放置することなく、有害鳥獣捕獲の目的に照らして適正に処理すること。
2 村長は、前項に反するなど有害鳥獣捕獲として適当でないと認められる場合には許可を取り消すことができるものとする。
(許可証等の返納)
第14条 許可証等の交付を受けた者は、捕獲実施者に対し許可証の裏面の報告欄に有害鳥獣捕獲の場所、鳥獣等の種類別員数及び処置の概要を記入させるものとする。
2 許可証等の交付を受けた者は、許可の期間が満了したときは、30日以内に捕獲等鳥獣の種類別員数等を記入した捕獲等報告書(第11号様式)を提出するとともに、許可証等及び腕章を村長に返納するものとする。
(県への有害鳥獣捕獲の状況等の報告)
第15条 村長は、年度の半期毎に当該半期中に行つた許可に係る前条第2項の捕獲等報告書の写しを県知事に提出するものとする。
(広域的な有害鳥獣捕獲)
第16条 村長は、被害が複数の市町村にわたる場合にあつては、必要に応じて近隣市町村長と協議して有害鳥獣捕獲の円滑化を図るものとする。
(調査研究)
第17条 村長は、鳥獣保護の適正な推進を図るうえで必要な資料を得るため、申請者に有害鳥獣捕獲の個体の種毎に、性別、年齢、体長、体重及び有害鳥獣捕獲地点等についての調査を依頼し、報告を求めることができるものとする。
(住所等変更届等の手続)
第18条 許可証等の交付を受けた者が、その氏名又は住所(対象法人にあつては、住所、名称又は代表者の氏名)を変更したときは、2週間以内に住所等変更届出書(第12号様式)に許可書を添えて、村長に届け出るものとする。
2 許可証等を亡失したときは、鳥獣捕獲等許可証等亡失届出書(第13号様式)を村長に届け出るものとする。
3 許可証等の再交付を請求する場合は、鳥獣捕獲等許可証等再交付申請書(第14号様式)を村長に提出するものとする。
(その他)
第19条 申請者は、この要領によりがたい場合は、村長に協議するものとする。
附則
この要領は、公布の日から施行し、平成21年2月1日から適用する。